
目次[表示]
「若島津関、超える力士に!」 福崎選手(樟南高)
樟南高相撲部3年の福崎真逢輝(まある)選手(名瀬中卒)が大相撲・藤島部屋に入門する。12月23日は同校で入門会見があり、「樟南の大先輩である若島津関を超える力士になりたい」と角界入りする意気込みを語っていた。
福崎選手は奄美市出身。140㌔と重い体重でも、低く速い相撲が取れて、相手のバランスを崩す相撲勘の良さが最大の武器である。高校では全国クラスの大会で上位の実績を残し、今年8月のインターハイでは個人3位、10月の国民スポーツ大会では個人優勝を果たした。12月の全日本選手権(天皇杯)では社会人、大学生も交えたアマチュアのトップ選手が覇を競った中で、ベスト8入りを果たし、敢闘賞を受賞した。
数多くの相撲部屋、大学などからスカウトが来た中で「元大関・武双山関のような強い力士が小さい頃から憧れでした」と藤島部屋入りを決めた。

「勝っておごらず、負けて腐らず、今まで指導してくださった方や応援してくださる方への感謝の気持ちを忘れず、勇気や感動を与えられる力士になりたい」と抱負を語った。
同席した藤島親方は「小学生の頃から見ていたが、どんどん攻める積極的な姿勢が魅力。基礎はしっかりできているので、今後もそれを続けていけば可能性は広がってくる」と期待を寄せていた。高校で指導する安田貴浩監督は「人懐っこい笑顔をしているけれども、相撲に対しては高い目標を持ちストイックに取り組んでいる。同じ樟南OBとして、相撲人として素晴らしいと尊敬できる。鹿児島の相撲界が大相撲でも通用するところを見せて欲しい」と激励していた。

父・輝幸さんは「真逢輝の存在が素晴らしい人たちとの出会いを作ってくれた」と感無量の様子。「まある」の名前は輝幸さんと妻・真美さんの名前から一文字ずつをとったことに由来するように、奄美や相撲の縁が多くの人との出会いにつながり、夢だった角界への入り口にたどりついた。
福崎選手は来年3月場所から幕下付け出しでデビューする。「不安も大きいけれども、それ以上に大相撲入りするワクワク感が大きい。まずは関取を目指す」と燃えていた。
「勝っておごらず、負けて腐らず」が信条
福崎選手の一問一答は以下の通り。
―高校3年間を振り返って。
大きなケガもあり、勝てなくて辛いこともあり、良いことばかりじゃなかったけれども、安田監督にご指導いただき、仲間たちに支えられてここまで頑張れた。樟南高校に育てられた3年間だった。
―「勝っておごらず、負けて腐らず」を信条に掲げる由来は?
いつも両親に言われている。どんなに強くても威張っている人は応援されない。人間としても応援してもらえて尊敬される人間になりたいと思っている。
―故郷・奄美への想いは?
奄美大島じゃなかったら相撲をしていなかった。奄美の人たちがいつも応援してくださっている。そのおかげで今の自分がいる。自分が活躍して恩返しができるようにしたい。
―相撲を始めたきっかけや、今角界を目指すきっかけは?
父の地元の豊年祭で3歳ごろから相撲をとっていた。5歳の時に初めて勝って相撲を楽しいと感じるようになった。大相撲を志したのは高校に入ってから。少しずつ、全国でも結果を出せるようになってきて、大相撲が目標になった。
―3月に初土俵となる。
体重はあるが身長がないので大相撲では小さい方になる。通用するか不安もあるが、それ以上に挑戦できることにワクワクしている。
強くなって稼げるようになったら、お世話になった樟南高校に送迎用のバスや筋トレの器具を寄付できることを目標にしている。
―天皇杯8強だったことで幕下付け出しデビューの資格をとった。
国スポの優勝や、天皇杯で8強入りしたけれども、結果やプライドは捨てて一から挑戦者の気持ちでやらないと通用しない。挑戦者の気持ちで大相撲に臨みたい。

【メモ】ふくざき・まある。2007年1月9日、奄美市出身。3歳から相撲を始める。172㌢、140㌔。17歳。