
「24年の出生数70万人割れ」とショッキングなニュースだった。2024年の1年間の出生数は68万6061人で1899年の統計開始以来、初めて70万人を割った。
出生数は49年の約269万人をピークに、73年の第2次ベビーブームの約209万人以降は減少傾向に転じ、2016年に100万人、22年に80万人と減少傾向が加速。24年の死亡数は160万5298人。ここから出生数を引いた「自然減」は実に91万9237人! 人口90万都市である北九州市と同じ数だけの人間が、1年間で日本から消えているという驚くべき事実が明らかになった。
「少子化対策」は国も、各地方公共団体も、打ち出してはいるが、これという「特効薬」は果たして存在するのだろうか? 農産物や工業製品のように、単純に「生産量」を増やせばいいというわけにはいかない。対象は「人間」だ。「子供を生み、育てる」という行為は、各夫婦の崇高な決意、覚悟を擁するものであり、そこに社会が何らかの圧力をかけるべきものではない。
ふと、少子化=悪と単純に言えるものなのか考えた。一昔前は逆に人口増加による様々な問題が取り沙汰された。通勤通学の満員電車、交通渋滞、自然環境の悪化による公害…人口が減れば解決されてもおかしくないはずなのに、むしろ慢性化していないか? 狭い国土に適正な数にこれから落ち着くと考え、順応していく発想の転換が必要ではないだろうか。
