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スペシャル対談・レブナイズは誰のものか?・第2回

鹿児島から「日本一」を目指す!

 鹿児島レブナイズの山崎俊オーナーと鹿児島県バスケットボール協会の鮫島俊秀会長の対談。第2回は2024年から会長に就任した鮫島会長がこれからの鹿児島のバスケットの未来について語った部分を再現する。

イラスト ぽたろ

鹿児島国体後の鹿児島のバスケット

  2023年の鹿児島国体も終わり、県協会としても新たなフェーズを迎えて、会長になられました。

 鮫島 私の発想は「鹿児島から日本一のバスケットを作りたい」というシンプルなものです。レブナイズは社会現象として、ものすごいものを引き起こしてくれました。この勢いをお借りして、私のこの夢が何とか実現したいと考えているところです。真に強い、日本一のチームが出てきてくれたらというのが、県会長としての願いです。

 山崎 県協会の皆様と共に、鹿児島のバスケットを盛り上げていきたいです!

  レッドモンスターズ(RM)が立ち上がったというのが何より大きいのでは?

 鮫島 県協会としては地元国体があった2023年にかけるものがありました。本来2020年に予定されていた鹿児島国体がコロナ禍で3年の延期になった。残念ながら、成年男女、少年男女とも初戦敗退で点数をとれませんでしたが、成年男子はその前年の国体でベスト4入りするなど、全国制覇直前まで仕上げていました。山崎さんがオーナーになる前のレブナイズはそのために強化していったと言っても過言ではない。24年になり、さぁ国体後の強化をどうしていくかというときに、山崎オーナーから「実業団チームを作って、社会人として生きる術を学びつつ、レブナイズに駆け上がっていきたいと思うような若者を集めていきたい」という話をされた。これはとても助かりました。まさに「福音」でした。

 おかげさまで24年の佐賀国民スポーツ大会では、レブナイズ永久欠番の松崎圭介君率いるRMを主体とする成年男子が、ベスト8入りして得点をとることができました。これは感謝以外の何物でもない。

 逆に私たちがレブナイズに協力できるのは、このRMが該当する成年男子のカテゴリーです。これから国スポの軸になる選手が登場してくると思います。繰り返してお話しするように山崎オーナーには感謝しかないです。ありがとうございます。

レッドモンスターズ、発足!

 山崎 こちらこそありがとうございます。今、Bリーグにしても、Jリーグにしても、チーム名に企業名が入らず、都道府県や都市の名前が入っていることがネックです。とても良いですよね。県や都市を挙げて応援するチームがあるというのは。今、鹿児島にはJもBも一つしかチームがないから、鹿児島県民一体となって応援できる土壌が作れる。もう一つが国スポです。鹿児島のバスケットでチャンピオンを獲りたいですね!

※24年4月1日、県庁でレブナイズのセカンドチーム・RM設立の記者会見があった。

  鮫島 県の代表として雌雄を決する場は、国スポを除けば、全国中学総体、インターハイ、ウインターカップなど、単独チームしかない。「鹿児島」の名前を背負って戦う場は国スポしか今ないのが現状です。ここの制覇を目指すということがなくなってしまえば、県協会の存在意義もなくなってしまうので、ぜひ関係各位のお力を借りてそこまで駆け上がっていきたいです。これが夢です。

 山崎 チャンピオンになりましょう! その時は胴上げしますよ!(笑)

  RM発足の記者会見に参加して、感動したことがありました。プロになりたいという志を持った若者を鹿児島に呼び込むという発想。実業団選手としてプロになるための技を磨き、経験を積みながら、社会人として生きていくためのスキルを身に着ける。これが県協会にとっては国スポの強化につながる。なるほどこんな発想で、渦を作り、鹿児島を盛り上げていく具体的な方法があったのかと目から鱗でした。

 山崎 1年目、いろいろもたついたところもありましたが、松崎HCを中心にまとめてもらい、仕事をしながら、バスケットをする。選手、リーダー、会社もいろいろと大変な中で、1年間試行錯誤しながらやり抜いて、だいぶノウハウは出来上がってきたかなと思っています。ここから数年間でもっともっと磨いていけば、もっとRMプロジェクトは良くなると思います。今回の対談の中で、RMは「国スポで優勝する」という目標設定ができました。私自身も頑張っていきたいと思います。

  元々RMの選手として何人ぐらい雇用したいという構想があったのでしょうか?

 山崎 現在は7人ですが、元々は50人ぐらいの構想を持っていました。だからこれからももっともっとやらないといけないと考えています。国スポに「成年女子」というカテゴリーがありますから、女子選手を雇用するのもいいですよね。鮫島先生が会長になられて1年が経ちました。今の県のバスケットをめぐる状況はいかがですか?

サミットとウインターカップ
「晴れ舞台」は自ら作る!

 鮫島 先程から国スポの話題が出ていましたので、その話をします。かつては高校3冠と呼ばれて、インターハイ、国体、ウインターカップという3大タイトルがありました。それが今、国スポはU16というカテゴリーになってしまいました。となると高校エイジで「県の代表になる」という機会、「県の最強チームを見せる」場がなくなってしまいました。これは好ましいことではないと、JBAに異議を申しているところです。しかし、1回決めてしまったものはなかなか元には戻りません。インターハイ、ウインターカップ、単独チームで優勝した子たちは、県代表として全国各県の代表と戦うことができます。しかし、それ以外の学校にも、バスケットが好きで、鍛錬している子たちが一杯いる。そういう選手たちが全国の舞台を経験できるオフィシャルな場がない状況です。

 そこを作りたいと思って、今年から実施しているのが、3月に県体育館で実施したリニューアルした「バスケットサミット」です。今年は福岡第一高が来てくれて、来年も来てくれることが決まっています。高校2年生段階の選手ですが、そこで「鹿児島」というユニホームを着て、戦ったという誇りを胸に、羽ばたいていってもらいたいと考えています。

 「全国にその舞台がないのなら、俺たちでつくってやろう」というのがサミットのコンセプトです。今B1で活躍している永吉佑也選手や、かつてレノヴァ鹿児島の選手として活躍し、今鹿児島高校の監督をしている西堂雅彦さんたちは、かつてサミットで鹿児島代表のユニホームを着て試合をしたことを誇りに思ってくれています。これからのサミットは国スポに代わって高校生エイジの選手たちが「鹿児島」を背負って戦う舞台として作っていくことに注力したいと考えています。

 あとは高校エイジで一番注目を集めるのはウインターカップです。決勝戦はセンターコートを設営し、華やかな演出をするようにしています。ここに山崎社長のWizさんに冠をいただくことが決まっています。近年、中学生エイジのジュニアウインターカップという大会もあるので、両方一緒にして、「晴れ舞台」を作り、盛り上げていきたいです。

 山崎社長にはウインターカップ、サミット、両方にお力をいただければありがたい。例えばRMの選手たちが、かつてのサミットでレッドシャークスが県外、もしくは国外のチームを招いて試合をしたような、晴れ舞台を作って盛り上げていく。この2つが今後県協会として鹿児島のバスケットを盛り上げていくための大きな柱です。

 先程女子のチームの話がありました。成年男子にはレブナイズ、RMという輝けるチームがありますが、残念ながら女子はそういうチームがない状況です。今、女子の強化という点で行っているのは、今年の12月に日本代表クラスの選手を擁するWリーグのチームを招いて試合をすることが決まっています。県内にそういうチームがなければ、県外にあるチームに来てもらって、準フランチャイズで試合をしてもらう道を模索しています。

 今協会として目指しているのは、将来のレブナイズを目指すような男子のチームのための晴れ舞台を作り、いつか女子もWリーグで戦うようなチームが出てきたらいいなというのが私の考えです。(つづく)

鮫島俊秀(元鹿児島レブナイズヘッドコーチ、鹿児島県バスケットボール協会会長)

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