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球夏2025第6日

沖永良部、粘りあと一歩及ばず!

【1回戦・錦江湾ー沖永良部】4回裏錦江湾一死三塁、9番・細谷がスクイズを決め、2-1と勝ち越す=鴨池市民

 第107回全国高校野球選手権鹿児島大会第6日は7月10日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で1回戦4試合があった。錦江湾は終盤の沖永良部の追い上げを振り切って競り勝った。シード出水中央、鹿児島商、鹿児島情報はコールド勝ちだった。第7日は11日、両球場で1回戦4試合がある。

◇10日の結果

・1回戦(平和リース) 出水中央 10―0 市来農芸(5回コールド) 鹿児島商 8―1 出水(7回コールド)

・1回戦(鴨池市民) 鹿児島情報 11―0 志布志(5回コールド) 錦江湾 8―5 沖永良部

◇11日の試合

・1回戦(平和リース) 9:00 吹上VS鹿屋農  11:30 鹿児島水産VS屋久島

・1回戦(鴨池市民) 9:00 樟南VS隼人工  11:30 松陽VS徳之島

あの敗戦があったからこそ…・沖永良部(奄美新聞掲載)

【1回戦・錦江湾―沖永良部】4回表沖永良部二死一二塁、6番・冨岡が中前適時打を放ち、1―1の同点に追いつく=鴨池市民

 昨夏は鹿児島商に0―10、無安打で5回コールド負け、昨秋は樟南に0―9で7回コールド負け、今春は鹿屋中央に0―10で5回コールド負け…この1年間、勝利はおろか、9回まで試合をすることも、まともに安打することもできなかった沖永良部が、最後の夏に輝きを放った。

 序盤はピンチの連続。初回は二死満塁、二回は一死二三塁…大量失点を喫してもおかしくない場面が続いたが「エース東(大介・3年)=写真上=がよく抑えてくれて、テンポ良く守れていた」(冨岡壮真主将・3年)。攻撃ではなかなか打てず、走塁ミスも相次ぎ、なかなか得点できない。それでも「終盤必ず打てるようになる!」と深田信平監督はナインを励まし続けた。

 5回裏、2点ビハインドで雨が激しくなり1時間半の中断があった。この日のうちにやり切るか、継続試合になるか、気持ちが揺れ動いてもおかしくない時間帯だったが「必ず再開されると信じて、気持ちが切れていなかった」(冨岡主将)。中断明けの方が俄然野球が良くなった。東を中心にした好守でリズムを作り、7回に2点差を同点に追いつくことができた。だが、8回に粘りの投球を続けていた東が150球を超え、制球を乱し痛打された。2番手・武諒太(3年)も制球が定まらず、5点を奪われた。あと2失点でコールド負けというところで、冨岡主将が3番手でマウンドに上がる。「登板は久しぶりだった」が「心の準備はできていた」と2者連続三振。9回は2点を返して、最後の意地を見せた。

「あの敗戦があったから、僕らは必死で練習しました」と冨岡主将は言う。鹿児島商、樟南、鹿屋中央と甲子園経験のある強豪校に全く歯が立たなかったが、その悔しさをバネに練習を重ね、3年生を中心にミーティングを重ね、居残り練習もこなしてきた。その成果は、5得点と9回まで粘れたことが物語っていた。

「好プレー特集に取り上げられる」好守で流れ引き寄せる!
沖永良部・武諒太二塁手(熱球譜・奄美新聞掲載)

 「テレビの好プレー特集で取り上げられる好プレーをやろうぜ!」

 二回裏一死二三塁のピンチの場面で遊撃手の冨岡主将とそんな話をしたのを覚えている。センターに抜けそうなライナーの打球をダイビングキャッチ。まさしく「好プレー特集」で取り上げられそうな好守でチームに流れを引き寄せた。好守には根拠があった。東―池下敦のバッテリーは制球が安定し、リズムが作れている分、守りやすい。打者により、配球により、少しずつ守備位置を変えて守ることでミスも少なく、堅実に守れる。錦江湾の各打者はセンター返しの傾向がある。相手は右打者。配球は内角の変化球なら、「この辺にくるかも」と右寄りに守備位置を変えたのが功を奏した。

 打撃では後悔していることがある。五回表二死二三塁、一打同点の場面で、5球ファールで食らいつきフルカウントまで粘り、自信を持って見逃したがストライクのコール。見逃し三振で、好機を生かせなかった。その後から雨で1時間半の中断があった。落ち込んだが「お前の好守があったから、うちに良い流れがきているんだぞ!」という深田監督の言葉で気持ちを切り返られた。九回はカウント2ボール2ストライクから「やっと自分が一番得意なコースボールが来た」と内角高めの変化球を強振。見逃し三振の汚名返上の左越え適時二塁打を放った。

 「チームメート14人がいたからこそ、こういう良い試合もできた」と仲間に感謝する。一方で見逃し三振も含め、勝てなかった悔しさは残る。3年生10人が抜けてしまえば1、2年生4人になる。秋以降、単独出場は厳しいかもしれないが「たとえ合同チームになっても、自分たちが果たせなかった県大会の勝利を後輩たちに託したい」。

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