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第80回鹿児島県陸上選手権大会最終日

松下(鹿信金)、2年連続の大会新・男子三段跳
 楠田(鹿女子)が県高校新・女子J300H

 第80回鹿児島県陸上選手権大会最終日は7月13日、鹿児島市の白波スタジアムであった。男子三段跳では松下悠太郎(鹿児島信用金庫)=写真上=が16m25を跳び、2年連続で大会記録を更新し、走幅跳と合わせて2冠だった。女子ジュニア三百障害では楠田ゆうな(鹿児島女高)=写真中=が41秒98で県高校記録と大会記録を塗り替えた。男子走高跳では畝地雄大(鹿児島南高)=写真下=が2m13と今季の高校全国ランキング2位の好記録を出した。

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日々アップデートしていきたい・松下

男子三段跳 ①松下悠太郎(鹿児島信用金庫)16m25 ②松下貴紀(BabbinoCompare)14m49

 5回目の試技。182cmの長身ジャンパーが、会場に拍手を求める。闘志をむき出しにして助走を駆ける姿に会場のボルテージも上がる。ホップ、ステップ、ジャンプ。着地の瞬間にどよめきが起こった。16m25。自身の持つ県記録16m33につぐセカンドベストであり、2年連続で大会新記録を樹立。走幅跳と合わせて2冠に輝いたことで、今大会男子の最優秀選手賞・玉川杯を見事勝ち取った。

 先週の日本選手権で6位入賞。前日に走幅跳も跳んでおり「さすがに疲労がたまっていた」前半は思うような跳躍ができていなかった。1回目は15m80だったが、2、3回目はファール。だが、松下の持ち味は後半の勝負強さにある。走幅跳は予選3番手でも決勝の最終6回目で逆転勝ちだった。4回目15m94、5回目16m25。三段跳も尻上がりだった。

 鹿児島高時代は3年のインターハイで9位。「あの悔しさは競技を続ける原動力になっている」。福岡大を卒業し、実業団選手として午前中は仕事、午後は母校の鹿児島高で技を磨く。「日本のトップ選手と渡り合える」力は身に着けている。未だアジア大会や五輪など、世界大会の経験はない。女子短距離で東京五輪に出場した鶴田玲美(南九州ファミリーマート)が同じ鹿児島を拠点に活動しているので、刺激を受けることが多いという。心掛けているのは「日々、自分をアップデートさせていく」こと。まずは日本のトップを目指す。達成したら今は具体的にイメージしていない「世界」が見えてくると考えている。

復調の手応え・畝地

男子走高跳 ①畝地雄大(鹿児島南高)2m13

 畝地がインターハイを目前にして、復調の手応えをつかんだ。自己ベスト更新の2m16は惜しくも失敗したが、2m13と久々に2m10台の記録を出し「ようやく自分らしい跳躍ができた」と安堵の表情を浮かべていた。

 シーズンスタートで2m10を跳んで以降は、県記録会、県総体、南九州と2m1桁の記録が続いていた。「補助助走がうまく決まらず、助走で流れに乗れていなかった」と言う。助走をスタートさせる前の補助助走を何歩とるかがなかなか決められなかったが、「5歩」と決めてからうまく流れに乗れる手応えはつかんだ。今大会も2m05を2度失敗するなど、状態は良くなかったが、3本目で成功させて調子づく。07は2本目、10、13は一発で成功させた。自己ベスト更新を目指して16に挑み、3回目成功したかに思われたが、最後に足がかかってクリアならず。「インターハイまでに2m20以上を跳んでおきたかった」と悔しがった。

 インターハイでは自他ともに認めるライバル・中村佳吾(関大北陽高)との対決を意識する。インターハイを前にしてライバルと戦える手応えはつかんだ様子だった。

走高跳で「飯が食える」環境を作る!・久保木

 昨年で五輪を目指す挑戦にピリオドを打った久保木春佑(JUMPHIGH)が次に目指すのは「走高跳で飯が食える環境を作る」ことだという。

 鹿児島を拠点にパリ五輪を目指していたが、出場叶わず、昨年6月に所属していた会社を退社し、7月からは活動拠点を、学生時代を過ごした東京に移した。個人事業で「JUMPHIGH」(ジャンプハイ)を立ち上げ、高校の非常勤講師などで生計を立てつつ、ブランド「XXーO」のアパレル販売事業を始めた。ブランド名は、走高跳の競技記録で2回失敗した後、3回目をパス。高さを上げて1回で成功したことを意味する「✕✕-○」に由来する。かつて五輪で、2m39を跳んだ選手が37を2回失敗して、3回目を39に上げて一発でパスしたことがあったように、最後まであきらめない粘り強さと決断力を名前に込めた。

 活動拠点は関東だが、「生まれ育った鹿児島に恩返しがしたい」と陸協登録は鹿児島にして、今大会にも出場した。1m93を2回失敗。「故事」に習って3回目をパスして96に上げたが失敗。「成功させたらカッコ良かったんですが、失敗したいじられるだけです」と苦笑する。それでも「この1年間、ほとんど練習してなかったんですが、むこうで定期的に練習会を企画していたおかげで、90は跳べました」と胸を張った。

 競技の合間には出場している他の選手にアドバイスするなど、故郷・鹿児島と走高跳にかける想いは熱い。自身が世界を目指す夢は断念したが「鹿児島から世界を目指せる選手が育つように、走高跳の選手たちが安心して競技に打ち込めるような環境づくり」をすることを第2の人生の夢に掲げていた。

ゆうなはヤバい!・楠田

女子ジュニア三百障害 ①楠田ゆうな(鹿児島女高)41秒98=県高校新 ②髙口永恋(鶴翔高) 43秒05=以上大会新

 楠田と髙口。阿久根中の先輩・後輩が見ごえあるレースを繰り広げ、2人とも大会記録を塗り替え、後輩・楠田は県高校新記録を樹立した。

 楠田が5レーン、髙口が6レーン。いつもと違って、外側の髙口を視界に入れながら追いかけるレースだった。前日、楠田が出場しなかった四百障害で優勝したように「先輩も調子が良くて先に行かれそうになった」と驚いたが、「本気で勝負するレースではない」と冷静に判断し、いつも通りの走りを心掛けた。

 終わってみれば「高校歴代6位の記録です!」とアナウンス。「ゆうながヤバいです!」と先輩・髙口も脱帽する走りだった。

先輩が貫録勝ち!・片野坂と井上

女子三段跳 ①片野坂瑞希(中京大)12m16 ②井上ハルカ(日本経済大)11m94

 片野坂と井上、大学生で鹿児島高のOG2人がトップ争いを繰り広げた女子三段跳は、2つ上の先輩・片野坂が終盤5回目で逆転し、先輩の貫録をみせた。

 6月の記録会で12m30のシーズンベストを出し「調子は上がっていた」片野坂。序盤は記録が出ず、ファールも2つあったが5回目に12m16を出して井上を逆転した。それでも「このところはずっと記録も良かったので、ベストを出せなくて悔しい」と苦笑した。対照的に「あまり調子は良くなかった」井上。1投目でシーズンベストとなる11m94を跳べて安堵し「記録や順位を狙うよりも、先輩の片野坂さんと跳べて、楽しかった」と振り返った。

 双子の姉・唯月も同じ中京大で、こちらは昨年と今年2年連続で七種の県記録(5233点)を更新し、現在、日本選手権に出場中。入学した頃、高校時代の実績がなかった瑞希は「大学では陸上はやらない」と経営学部に進んだが、スポーツ科学部の唯月に引っ張られて陸上部に入部。競技を続けていくうちに「高校時代に全国に出られなかった悔しさ」を思い出し、全国を目指す意気込みで競技に取り組む。

 今年は念願の全日本インカレには出場できたが、まだまだ勝負できるレベルではない。「A標準の12m50を今年中に跳びたい」と今季残りシーズンの目標を話していた。

最終日コメント&動画&フォトグラフ集

男子ジュニア三百障害 ①平松希叶(鹿児島高)37秒30=大会新

 平松「きのうの四百障害は走っている途中でハムに来たので、自重した。きょうは5台目まで14歩の逆足で行く予定だったが、きのうのこともあったので3台目までにした。きのうよりはいい感じで走れた。今季は肺炎になったり、いろいろアクシデントがあったが全国優勝したい気持ちが強い。絶対に優勝したい」

男子百十障害 ①大久保颯(駿河台大)14秒66 ②新納源大(鹿児島高)15秒12 ③下村捺希(鹿児島AC)15秒29

女子百障害 ①石本桜子(鹿屋体大)14秒34 ②有川実花(東京学芸大)14秒36 ③服部美音(東亜大)14秒92

男子三千障害 ①松村幸亮(第一工大)9分22秒73 ②芝上丞乃助(HRC)9分24秒70 ③平翔生(鹿児島城西高)9分25秒22

女子二百 ①花木美優(松陽高)25秒08 ②下田星奈(鹿児島南高)25秒15 ③森山心月(鹿児島中央高)25秒19

男子二百 ①上和田樹(広島大)21秒50 ②横田幹太(BabbinoCompare)21秒70 ③吉留陸叶(周南公立大) 21秒72

女子千六百リレー ①鹿児島南高(三宅、西園、武宮、下田)3分54秒17 ②鹿児島中央高3分56秒17 ③鹿児島高3分58秒55

男子千六百リレー ①鹿児島高(橋元、藤井、堀之内、平松)3分16秒39 ②HRC3分17秒07 ③鹿児島中央高 3分18秒25

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