
連日、猛暑の中で夏の高校野球の予選が実施されている。近年は「暑さ対策」も綿密になされている。
これまで1球場で1日3試合だったのが、午前9時開始の2試合になった。雨による試合開始の遅延や中断があっても、余裕を持って消化できている。取材する側としても試合数が少なった上に、早く終わるので、余裕を持って記事が書けている。試合中は三、五、七回に選手・審判員の給水タイムが設けられている。試合中、足がつるなど体調に変化をきたした選手がいれば、審判がすぐに試合を止めて、治療に入る。ベンチには大型の送風機が設置されている。ネッククーラーや氷嚢など、アイシングに必要なものは各チームで準備している。その昔、「練習中に水を飲んではいけない」という固定概念があり、夏場の練習中に水が飲めなくてきつい想いをした世代の感覚からすると、今の高校球児は至れり尽くせりでうらやましい。
子供の数はたくさんいた団塊ジュニア世代。弱音を吐けば「お前の代わりはいくらでもいるぞ!」と排除されるのが嫌で、我慢していたことを思い出す。「昔は良かった」と懐かしむ気はさらさらなく、何と非科学的で、愚かなことをしていたのだろうかという反省が浮かぶ。その反省から勇気をもって改善に取り組んだ人たちがいて、今があるのだろう。旧態依然のイメージが強い高校野球界だが、暑さ対策に限っていえば、スピード感を持って柔軟に取り組めている印象がある。