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球夏2025第10日

鹿児島工、延長12回の死闘を制す!

【2回戦・鹿児島ー鹿児島工】延長12回を1人で投げ抜いた鹿工のエース不笠=鴨池市民

 第107回全国高校野球選手権鹿児島大会第10日は7月15日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で2回戦4試合があった。シード鹿児島工は鹿児島との延長12回に及ぶ死闘を制した。鹿児島玉龍、シード加治木は接戦をモノにし、国分はコールド勝ちだった。第11日は16日、両球場で2回戦4試合がある。

◇15日の結果

・2回戦(平和リース)

国分 13-3 連合②(7回コールド)  加治木 6-3 指宿商

・2回戦(鴨池市民)

鹿児島玉龍 5-3 大島  鹿児島工 7-6 鹿児島(延長12回)

◇16日の試合

・2回戦(平和リース) 9:00 鹿屋中央VS川内  11:30 鹿児島情報VS錦江湾

・2回戦(鴨池市民) 9:00 川薩清修館VS出水工  11:30 鹿児島商VS出水中央

不笠、力投!177球・鹿児島工

 鹿児島工・不笠宗太郎(3年)と鹿児島・今村大翔(3年)。今年の鹿児島を代表する3年生右腕から両チームの打線がどう点をとるか? ロースコアの接戦が予想されたが、試合は予想外の展開となった。

 鹿児島工は4回表、一死満塁として6番・三浦杏仁(3年)の中越えに留打で2点を先取する=写真上=。更には8番・外薗幹(3年)の右前適時打で更に2点を加え、計4点を先取した。5回は3番・小林虎徹(3年)の犠飛で5点目。1回戦・国分中央戦で1安打完封勝利だった今村から幸先良く5点を先取した。

 鹿児島は六回から左腕・楠生滉人(3年)を2番手のマウンドに送る。ここで試合を立て直すと、7回裏には下位打線で粘って好機を作り、9番・山下天汰(3年)、1番・平川龍(3年)の連続適時打で2点を返す。8回もエラーなどが絡んで二死満塁とし、9番・山下が走者一掃の左越え二塁打を放って同点に追いついた。

 試合は10回からタイブレーク方式の延長へ。10回表、鹿児島工は頼みの主砲・中村武尊主将(3年)が併殺打に倒れるなどで無得点。その裏、鹿児島は無死満塁と絶好のサヨナラ機を作ったが、不笠が3者連続三振でピンチを切り抜けた。

 11回、鹿児島工は5番・三浦の中越え二塁打で勝ち越したが、鹿児島は併殺崩れの悪送球で振り出しに戻す。  試合は今大会最長となる12回に突入。鹿児島工が1番・堂園玄(3年)の犠飛で勝ち越すと、その裏を不笠が無得点で抑えた。試合時間3時間6分。不笠は177球の力投が報われた。

硬さ、払拭できず・大島(奄美新聞掲載)

【2回戦・大島―鹿児島玉龍】7回表大島二死二三塁、8番・福元の左前適時打で二走・田中が生還、3―2と逆転する=鴨池市民

 鹿児島玉龍を相手に後半流れをつかんで逆転に成功した大島だったが、再逆転され2点差で惜敗。萩原健斗主将(3年)は「自分たちも良さは出せたが相手が一枚上手だった。勝負に勝つ難しさを感じた」と振り返った。

 「初戦から硬さがなかなか抜けなかった」と萩原主将。この試合も前半はエラーや暴投などミスが失点に絡んだ。それでも前半は我慢し、「後半勝負」(上野力監督)に持ち込んだ。6回に1点を返し、7回に逆転に成功。だがその裏の守備で踏ん張れなかった。

 先頭打者の代打・枦木舷音(3年)に左越え二塁打を浴びたところで、エース田中誇生(3年)から2番手・元山匠和登(2年)にスイッチ。だが次打者に初球で死球を与え、1番・野添翔琉(3年)にはフルカウントからセーフティーバントで揺さぶられ満塁。3番・林京(3年)に適時打=写真下=、4番・山下諒大(3年)に犠飛、野添の好走塁で計3点を奪われた。「継投がうまくはまらなかった。昨秋から比べると大きく成長したが、競った勝負をモノにできる力はつけられなかった」(上野監督)。

 序盤劣勢の展開を逆転できたのは、間違いなく「成長」である。昨秋は川内を相手に初戦でコールド負け。16奪三振を喫し、相手の強さ以上に「チームのまとまりのなさが試合に出た」(萩原主将)。その悔しさが原動力となり、日々の生活から見直し、真剣に野球に取り組んだ成果はこの夏随所に発揮できた。次は「競った勝負をモノにする力」をいかにして身に着けるか? 残る1、2年生に託された。

ファーストストライクを打つ!・大島・福田瑛介一塁手(熱球譜・奄美新聞掲載)

 背番号は「5」だが、この日は一塁を守った。低い送球も目一杯足を開き、身体で捕球する。「下は絶対に通さない」意気込みを一塁の守備で見せていた。

 「初戦は打撃が良くなかった。きょうは打撃でもチームに貢献したかった」意気込みをまずは六回の先頭打者で見せる。前半の流れが悪かったから、五回終了後のグラウンド整備の間は、トレーナーに習ったストレッチをして「流れを変える」準備をしていた。見事に中前打で出塁。反撃の狼煙となるホームを踏んだ=写真上=

 七回二死二三塁の場面では「ファーストストライクを打つ」ことを意識していた。1ボールからの2球目、ファーストストライクを左前に弾き返し=写真上=、殊勲の逆転打を放った。

 その裏の守備では後悔していることがある。再び逆転された直後、ボテボテの三ゴロを田畑元がうまくさばいて一塁送球。いつものように身体で止めにいったが間に合わずセーフ。その間に二走が一気に本塁を陥れ2点差に。「捕ることに集中していて、バックホームまで意識が回らなかった」。相手の走塁のうまさに脱帽だった。

 3年生は9人。マネジャーも入れて10人。「3年生と1試合でも多く一緒に野球がしたい」気持ちを全面に出したが、この試合が区切りとなった。「1年生も多く入ってくれたので、これからが楽しみ」と自分たちの代で果たせなかった夢の実現を、後輩たちに期待していた。

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