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球夏2025第15日

鹿児島実、終盤逆転勝ち! 神村学園は攻守にスキなく

【準々決勝・鹿児島工ー鹿児島実】3回表鹿実一死二塁、1番・室屋の右前打で二走・吉田が本塁を狙うも好返球でタッチアウト。捕手・平

【準々決勝・神村学園ー加治木】6回裏神村二死二塁、5番・今井の右前適時打で二走・今岡が生還、9点目

 第107回全国高校野球選手権鹿児島大会第15日は7月21日、鹿児島市の平和リース球場で準々決勝2試合があった。鹿児島実は終盤に逆転して鹿児島工に競り勝った。神村学園は攻守にスキなく加治木を圧倒した。第16日は22日、同球場で準々決勝2試合がある。

◇21日の結果

・準々決勝(平和リース) 神村学園 9-0 加治木(7回コールド)  鹿児島実 2-1 鹿児島工

◇22日の試合

・準々決勝(平和リース) 9:00 れいめいVS出水工  11:30 鹿屋中央VS樟南

勝敗分けた強気の内角勝負、エースと4番が真っ向勝負
鹿工・不笠VS鹿実・前田大

【準々決勝・鹿児島工―鹿児島実】8回表鹿実二死二塁、4番・前田大の二塁打で二走・室屋が生還、2―1と勝ち越す

 8回表二死二塁、スコアは1対1の同点。鹿児島実と鹿児島工、互いに譲らぬ緊迫した一戦のヤマ場を迎えて、「エース」VS「4番」の見ごたえある好勝負が繰り広げられた。

 打席に立ったのは鹿児島実の4番・前田大成(3年)。それまで3打席凡退だったが「これまでバットを振り込んできた自分を信じて、自分が決める!」一念で臨んだ。

 マウンドは鹿児島工の絶対的エース・不笠宗太郎(3年)=写真=。一塁が空いていたが「申告敬遠は考えなかった」。この試合、強打の鹿児島実に対して厳しく内角を突く投球が冴え、自分の間合いで小気味よく抑えていた。2ボールからファールを1つはさんで、4球目は強気の内角直球が絶妙なコースに決まる。前田大は全く手が出なかった。

 勝負の5球目。いろんな選択肢が考えられた中、不笠が選択したのは内角直球。4球目の絶好球より、更に内側を突いたが、「前田君が身体を開いて打つのが見えた」。鹿実4番の意地の気持ちが乗った打球が、一塁強襲の適時二塁打=写真下=となり、終わってみれば、これが決勝点となった。

 前田大は足首の疲労骨折で5月の県選抜大会は出られず、今大会も打撃が振るわず、3回戦・尚志館戦は5番に打順を下げられた。そんな悔しさも、好投手・不笠から勝負を決める一打を放つエネルギーになった。

 「ナイスピッチング!」。試合後に整列してあいさつした時、前田大は不笠に声を掛けた。「ありがとう」。不笠は返した。敗れはしたが、高校最後のマウンドで、最高の投球ができた手応えがあった。だからこそ「大学でも野球を続けて、グレードアップした投手になりたい!」夢も芽生えた。

まさに「継打一心」、打席で粘り、好投手を攻略・神村学園

【準々決勝・神村学園ー加治木】3回裏神村二死一三塁、一走・山本が二盗を試みる間に三走・田中が判断良く生還。5点目

 攻守にスキのない野球を展開した神村学園が、コールド勝ちで4強入りを決めた。

 攻撃では1回から6回まで、33回あった各打者の打席で、凡打、凡飛球が全くなかった。安打はもちろんOK。四球はきっちり選び、アウトになった打席も、簡単に打ち上げることなく、右方向に低い打球を打つことが徹底されていた。三振さえも、打つべきボールを振っての空振りや、きっちり見極めた結果の見逃しだった。

 「相手の宮路(優聖・3年)君は好投手。ボールの出し入れで打ちとるのがうまい。高めのボールを振らされて打ち上げたりせず、打席で粘って、しっかり右方向へ、打ち返すことを徹底した」と小田大介監督は言う。初回の4番・梶山侑孜(2年)の先制適時打はまさしく追い込まれてから一二塁間を抜いたものだった。2回の追加点は二死から9番・山口源造(2年)が意表を突くセーフティーバントで出塁し、1番・結城柊哉(3年)が右中間を鋭いライナーで抜ける三塁打で得点した。今季のスローガン「継打一心」が表現されていた。

 6番・西原維吹(3年)の打席にその象徴を見た。4打席無安打だったが、初回の空振り三振は12球投げさせ、6球はファールで粘っている。第2打席の右飛、第4打席の二ゴロはきっちり右方向に打っている惜しい当たりだった。第3打席は3球ファールでフルカウントまで粘り、自信を持って見送った高めのボールがストライクと判定されての三振だった。

 「打てる打者は他にもいる。僕の仕事は打てなくてもしっかり球数を投げさせる」という意識で打席に立っていたと振り返る。7回表は二塁手の守備で魅せるプレーがあった。先頭打者が左前打で出塁して無死一塁。次の代打・亀澤維心(3年)の打球は止めたバットにボールが当たってボテボテのゴロが一二塁間に転がった。西原は「走者がスタートを切っていないのが見えた。ランナー二塁より、一塁の方が投手にとっても負担が少ない」と判断し、素早い二塁送球で二塁アウトをとった。併殺は難しく、無難に一塁送球アウトでOK。悪送球やエラーがあれば一気にピンチが広がってしまう中での高度な判断だったが「守備には自信があるので、ミスするイメージはなかった」と言う。「全国制覇」を志すチームの一員の意識の高さを垣間見た。

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