
先日、高校駅伝の取材で指宿に足を運んだ。今年からラジオでもアプリでも放送局によるレースのライブ実況がなくなった。レースの模様をどう把握するか、思案のしどころだった◆これまで高校駅伝はNHK鹿児島放送局がラジオ実況をやっていた。昨年は別の民放局がアプリでライブ中継をやっていたが、今年はそれもやらないという。どの競技もスポーツ観戦は現地で観戦するのが醍醐味だが、駅伝やマラソンのように広大な会場を使用する競技でレースの全体像をつかむには、映像や音声による放送局のライブ実況が不可欠だ◆会場にやってきた観客も、どうやってレースを把握するか四苦八苦していた。学校によっては、保護者や控え部員を各区間に動員して、ライングループで情報を共有するなど、工夫を凝らしていた◆幸い、ダイジェスト放送をするためにレースを追いかけていた放送局の映像と音声を、本部席で受診していたのを一緒に拝見させてもらい、レースの詳細を把握できた。男子は後半、鹿児島城西と鹿児島実が激しいデッドヒートを繰り広げた。鹿実は出走した7人のうち6人が奄美出身ということもあって見入ってしまった。最後のトラック勝負で鹿実を鹿城西が逆転する劇的な幕切れだった◆ライブ実況を実現しようとすれば費用と人出がかかる。新聞とは旗違いだが「筋書きのないドラマ」をどう継続して伝えていくのか、「メディアの性」を思い知らされる出来事だった。
