目指せ!全国初勝利
オール鹿児島ガールズ
今年度の鹿児島県中学女子野球選抜(通称・オール鹿児島ガールズ)の活動が本格的に始まった。6月21、22日の両日、鹿児島市の鴨池中で県下全域から28人のガールズが集まり、合同練習で汗を流した。奄美からも4人が参加。チームの目標である「全国初勝利」(中村りこ主将・城西中)を目指したガールズの活動が本格的に始まった。

「とても明るい。野球が本当に好きな選手たちが集まりました」と指導する橋口龍太郎監督(鹿児島南特別支援学校教)。県内の中学軟式野球部員は減少傾向が著しい中、女子部員は増えており、今年度は113人の選手が、男子部員に交じって活動している。選抜チームの活動が始まったのは2011年頃。今年度で14期生となる。「女子選手にも活躍の場を与えてあげたい」と中学野球指導者たちが中心になって立ち上げた。毎年8月にある全日本中学女子軟式野球大会に、第2回大会から選抜チームとして出場している。その大会の指揮官だった永野弘一郎監督の影響を受け、コーチングスタッフの一員になった橋口氏が3年前から監督を引き継いだ。今年は第10回の記念大会であり、未だ成し遂げていない「全国初勝利」が合言葉だ。
奄美からも4選手が参加
今年度の「初練習」には3年生16人、2年生11人、1年生1人が参加。21日は主に走塁や守備などの連携プレー、22日は午前中に基本練習で汗を流し、午後からは紅白戦で実戦感覚を磨いた。

奄美からは山田海愛(金久中3年)、幸奈七美(亀津中3年)、芳みさき(古仁屋中2年)、盛羽葵(面縄中3年)の4選手=写真=が参加。盛以外の3人は21日の夜にフェリーで出発し、22日の夜に帰島する「弾丸ツアー」での参加だった。「このチームなら全国での勝利も目指せると思った」と山田。初対面の選手も多かったがすぐに仲良くなれ「楽しい練習ができた」(幸)。学年は1つ下だが芳も「3年生の先輩たちを勝たせてあげたいと思った」。「8月は九州大会優勝、全国ベスト4以上が目標」と盛は具体的な目標を掲げていた。
中村主将は、3つ上の兄の影響で小学5年生から野球を始めた。他のスポーツの経験はないが「野球が一番、夢中になれた」と感じている。特に好きなのは守備で「フィールドの9人が協力して1つのアウトをとる」ことに一番の楽しさを感じている。

2日間の練習を通じて「このチームの課題が早めに見つかって良かった」と橋口監督=写真=。日頃一緒に練習していないメンバー同士なだけに、攻守ともに細かい連携プレーを身に着けるのに時間がかかりそうだ。これから8月末にある全国大会(22―26日・京都)に向けて、全員がそろうのは厳しいが、毎週末に練習を組み、来られるメンバーだけでも鍛錬を積む予定だ。
未来の野球少年・少女を育てたい!
橋口監督の掲げる大きなテーマは「『野球をやっていて良かった』と思って、巣立ってもらうこと」。原点は自身の鹿児島実高時代にある。3年生最後の夏にベンチ入りはできなかったが、最後に出た練習試合で2本二塁打を打った。「これはお前が3年間、毎日バットを振ってきた努力の証だ」と恩師・久保克之監督に言われたことで、全てが報われた気持ちになった。最後の夏が終わるまでの間、出場選手たちのサポート役や、スタンドで応援に心の底から徹することができた。

「人生で大切なことは野球から学んだ」と橋口監督。「全国初勝利」は全員が野球好きのまま、やっていて良かったと心から思えた先にあると信じている。やがては「未来の野球少年・少女を育てるお母さん」になってくれることを、ガールズたちに期待している。