出水工、サヨナラ勝ちで23年ぶりの8強入り!

【3回戦・鹿屋中央―鹿児島情報】6回裏鹿屋中央一死、7番・溝淵が右越えソロを放ち、2―2の同点に追いつく=鴨池市民
第107回全国高校野球選手権鹿児島大会第14日は7月20日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で3回戦4試合があった。出水工は鹿児島商に9回サヨナラ勝ち。2002年夏以来23年ぶりの8強入りを果たした。第4シード鹿屋中央、れいめいは逆転勝ち。第5シード樟南はコールド勝ちだった。第15日は21日、平和リース球場で準々決勝2試合がある。
◇20日の結果
・3回戦(平和リース) 出水工 2-1 鹿児島商 れいめい 10-4 鹿屋農
・3回戦(鴨池市民) 鹿屋中央 7-3 鹿児島情報 樟南 7-0 出水商
◇21日の試合
・準々決勝(平和リース) 9:00 神村学園VS加治木 11:30 鹿児島工VS鹿児島実

初球を積極的に振れたこと・出水工

「夏は2試合勝つことも最近はなかった」(遊畑玄樹監督)出水工が、シード出水中央を完封した鹿児島商にサヨナラ勝ち。8強入りは23年秋以来だが、夏の8強は02年に初めて4強入りして以来23年ぶりとなる。
「勝つとしたらこういう展開しかないと思っていた」と遊畑監督。初回は一死一二塁のピンチで4番・庭月野敬太(2年)に中前打を打たれたが、中堅手・佐藤兆治(3年)の好返球でタッチアウト。好守もあって無失点で切り抜けると、その裏捕逸で先制点を挙げた。 2回以降、8回まで鹿児島商の先発左腕・福元隆綺(2年)の前にわずか3安打に抑えられ、三塁を踏むこともなかったが、出水工の先発左腕、エース橋口志臣(3年)も三、五回以外は毎回走者を背負いながら、粘り強く投げて得点を許さなかった。
7回表、鹿児島商は二死から安打、四球で一二塁として3番・山下琥太朗(3年)が中前適時打を放ちようやく同点に追いついた。追いつかれた出水工だったが、「二死から好機を作られ、外野の頭を越されるのが嫌だったので、外野を後ろに下げた。前で守っていたら、もしかすると佐藤が刺せたかもしれないが、同点に追いつかれたことよりも、1点で済んだことの方が大きかった」(遊畑監督)。
9回表を三者凡退でしのぐと、その裏は四球、内野安打で一二塁。4番・小﨑湧登(3年)は併殺で打ちとられ、万事休したかと思われたが、5番・外園咲(3年)が右前適時打を放ち、劇的なサヨナラ勝ちとなった。「外園は5月の地区大会、同じように競った展開の終盤に初球を思い切り打ちにいけなくて勝てなかったことがあった。積極性が課題だった。その初球を思い切り振れたことが勝利につながった」と指揮官は喜んでいた。
劣勢覆したチーム力・鹿屋中央

【3回戦・鹿屋中央ー鹿児島情報】3回裏鹿屋中央二死二塁、3番・秋田が左前適時打を放ち、1-1の同点に追いつく=鴨池市民
鹿屋中央と鹿児島情報。強豪私学同士、レベルが高く見ごたえのある好勝負だった。「夏の勝負は個々の力よりも、チームでどれだけまとまって戦えるかがカギになる」と鹿屋中央・山本信也監督。序盤の劣勢をチームの総合力で覆し、8強入りを決めた。

序盤は鹿児島情報がペースを握った。立ち上がりに5番・水口直人主将(3年)=写真=の左前適時打で先制。自らのバットで先制点を叩き出し、気持ちも乗っていた水口がマウンドでも気を吐き、テンポ良く、少ない球数で強打の鹿屋中央打線を抑えていた。
流れを引き戻したのはリードオフマンの1番・君島虎太郎(3年)の機転だった。3回裏、先頭打者の君島が「前の打席では初球タイミングを外された。流れも悪かったので思い切ってやってみた」と初球を三塁線にセーフティーバント。これが見事に決まり、処理した水口の悪送球も誘って二塁に進む。当たっている3番・秋田心(3年)の左前適時打で同点に追いついた。

5回表には二死から2つの四死球に野選が絡んで満塁となり、死球押出しで勝ち越し点を許す。重たい流れをなかなか払拭できない中で、鹿屋中央は6回からエース溝淵爽(3年)をマウンドに送る。6回を無失点で切り抜けて流れを断ち、その裏の打席では体勢を崩されながらも、技ありのバットコントロールで右翼席に同点弾を叩き込んだ。ようやく勢いを取り戻した鹿屋中央は二死から4連打を浴びせる。「ファーストストライクを積極的に打った」君島が勝ち越しとなる右中間二塁打を放った=写真上=。鹿児島情報も粘りを見せて8回に追加点を挙げたが、その裏、鹿屋中央も2点を加えて突き放した。9回表も二死満塁とピンチを招いたが、溝口が3連続変化球空振り三振で仕留め、勝利の雄叫びを挙げた=写真下=。

要所で仕事をした君島は「チームで勝つということを考えて、チームのために自分のできる仕事をした」と振り返る。次の相手はこのところ上位進出を阻まれている樟南。「チームで勝利を目指す」意気込みでぶつかるだけだ。
投打に活躍した鹿児島情報・水口主将だったが「相手の力が上でした」と脱帽する。序盤、良い流れを作ったがセーフティーバントで振り回されたことがきっかけになり、相手を勢いづかせてしまった。悔しい結果に終わったが「持っている力は出し尽くせた」とさっぱりした表情で語っていた。