鹿児島、逆転で初V!・男子
女子も3年ぶりVでアベック優勝!


2025年度鹿児島県高校総体バスケットボール最終日は5月27日、薩摩川内市のサンアリーナせんだいで男女決勝リーグ残り試合があった。男女とも決勝リーグ2勝を挙げたのは鹿児島とれいめい。男子の鹿児島=写真上=は第4クオーターまでリードを許しながら逆転勝利で初優勝を勝ち取った。女子の鹿児島=写真下=は終盤、同点にまで追いつかれたが、最後は突き放し、3年ぶり6回目となるインターハイ出場を勝ち取った。 男女とも優勝校が全国大会(7月27日―8月1日・岡山)、2位までが九州大会(6月21、22日・長崎)に出場する。
【男子】・決勝リーグ最終順位 ①鹿児島3勝 ②れいめい2勝1敗 ③川内1勝2敗 ④鹿児島工3敗
・ベスト5 岩田朝陽(鹿児島)福元啓太(同)中川噯虎(れいめい)三浦剛央(川内)中俣銀次郎(鹿児島工)
・優秀選手賞 下水流康太(鹿児島)川原琉誠(鹿児島)原口彪(れいめい)永田蒼(川内)黒葛原亜蓮(鹿児島工)
・決勝リーグ得点王 中俣銀次郎79得点
【女子】・決勝リーグ最終順位 ①鹿児島3勝 ②れいめい2勝1敗 ③鳳凰1勝2敗 ④甲南3敗
・ベスト5 松原朱人(鹿児島)牧之瀬七葉(同)鯨井英代(れいめい)佐藤碧水(鳳凰)児玉悠陽(甲南)
・優秀選手賞 吉原詩織(鹿児島)松下苺(同)林杏(れいめい)伊藤朱音(鳳凰)大橋明日佳(甲南)
・決勝リーグ得点王 佐藤碧水(鳳凰)51得点
※決勝リーグ最終戦の熱戦フォトグラフはこちら!
https://www.facebook.com/spokago/posts/3295657413915508
※表彰式の模様を「スポかごNEWS」のYouTube動画にアップしました!

我慢と信じる心、初の栄冠を導く!・鹿児島
◇男子決勝リーグ最終戦 鹿児島 60―52 れいめい
(10―14、16―22、15―11、19―5)

試合終了のブザーがなると、文字通り全員が飛び上がって喜んだ。コートの選手、ベンチメンバー、部員、そして先に優勝を決めた女子の選手たちも集まって、大きな歓喜の輪が途切れることなく続いた。男子の鹿児島が初めてつかんだ全国への切符。「女子が勢いをくれました」と西堂雅彦監督。「苦しい時間帯も最後まで我慢し、自分たちのバスケットを信じてやってくれた。厳しい練習に文句も言わず、やるべきことを最後までやり切ってくれた選手たちがすごかったです」と選手たちの頑張りに最大の賛辞を送った。
岩田朝陽、下水流康太、福元啓太、川原琉誠の3年生に、2年生の児玉匠。決勝リーグのコート上はほぼこの5人で戦った。初戦の鹿児島工、川内、そしてれいめい戦、相手に先にリードされる苦しい展開だったが、全て逆転勝ち。そんな劇的な勝ち方ができたのはなぜだったのか?

「鹿工戦で勝って勢いに乗れました」と川原は言う。これまで幾度となく4強に勝ち上がり、決勝リーグに進んでも1勝もできず、悔しい想いを幾度も繰り返したが、一つの壁を破ったことが「自信」を生んだ。安定して良い仕事をする岩田がいて、鹿工戦は福元、川内戦は川原、試合ごとに大当たりする3年生が出てきた。れいめい戦では残り約30秒で勝利を呼び込む3ポイントを決めた下水流=写真=が大当たりだった。「チームの核である福元主将からのパスだったから、練習通りシュートを決めるだけだった」と振り返った。
れいめい戦、序盤からリードを許し、時に2桁得点差になる時間帯もありながら、何度も食らいついてきた。第4クオーター、互いに守り合いが続く中、れいめいのシュートが徐々に入らなくなる。「全員でリバウンドを頑張り、相手のインサイドに果敢にアタックし続けたことが、最後に効いてきた」と西堂監督。2年生・児玉が攻守にインサイドで身体を張り、川原、福元も続く。序盤はなかなか得点につながらなかったが、この継続が相手にボディーブローのようなダメージを与え、鹿児島の逆転劇の布石になった。
それにしても4日間の最後の試合の第4クオーター、最も疲労がたまり、足が止まっておかしくない時間帯に最も自分たちらしいバスケットができた要因は何だったのだろう? 「きつい練習を本当に乗り越えてきましたから」と福元主将。試合中は、プロバスケットの鹿児島レブナイズのトレーナーでもある生駒祐次さんが選手たちをケアしていた。「大会期間中、どのチームよりも熱心に身体のケアをしていた」のは確かだったが、何より「鹿工戦に勝ったことで、強度の高い自分たちのバスケットをやり続けていれば勝てるという自信をつかんだのが大きかった」と力を込める。月並みな表現だが、豊富な練習量がベースにあり「精神が肉体を超える」境地に達して、つかんだ必然の優勝旗だった。
勝利を決めた信頼の心・鹿児島
◇女子決勝リーグ最終戦 鹿児島 68―66 れいめい
(19―14、12―8、16―18、21―26)

「全ての試合を圧倒して勝つ」(庵下晃代監督)が鹿児島の信条だったが、決勝リーグ最終戦のれいめい戦は注文通りにいかなかった。
先行するのは鹿児島。守備で相手を止め、多彩な攻めで得点を重ねる。だが、2桁得点差がついてこのまま圧倒するかと思えば、れいめいが粘り、3ポイントなどをきっかけに盛り返す。鹿児島もイージーなシュートが入らないなど、ミスもあって幾度も1桁得点差に詰め寄られた。「こんなに3ポイントが入らなかったのは初めて」と大黒柱の牧之瀬七葉主将も首をかしげるほど。それでも追いつかれることなく、勝ち切るかと思われたが、残り1分を切って62―62の同点に追いつかれた。
最後に勝利を導いたのは「チームメートを信頼する」(庵下監督)心だった。ボールを持った牧之瀬主将。「今までだったら、自分でシュートを打っていたかもしれない」チームの大黒柱の自負を捨て、左コーナーで構えていた松原朱人に最高のパスを送った。シューター松原も今大会当たりはよくなかったが「外れてもいいからシューターはどんどん打ち続けるよう言われていた。最後は自信を持って打った」。これまで打ったどのシュートより大きな弧を描き、リングに吸い込まれた。

残り30秒。逆転の可能性は最後まであったが、鹿児島の選手たちは落ち着いていた。2点シュートなら逆転はないと理解し、ファールするリスクを避け、あえてシュートを決めさせつつ、ボールを保持する時間を優先する。ファールゲームでフリースローをもらう。3度作ったフリースローのチャンスで1本ずつしか決められなかったところが玉にキズだが、「競った展開で負けなかったところに成長を感じた」と庵下監督。決勝リーグに進んだ他のチームは全校応援に近い迫力の応援がある中、鹿児島は野球部とサッカー部の3年生のみの少人数の応援。れいめい戦の後半は青に染まった大迫力でプレッシャーをかけてくるれいめい応援席の方向に攻める時間帯だったが、松原=写真=は「楽しかった」という。まだまだ課題点山積みだが、精神的なタフさは今大会で身についたようだ。