
先日、県酒造組合が主催する2024年酒造年度の本格焼酎の需給状況の会見を取材した。麹用に使う米の価格高騰などの影響で全体の生産量が4年ぶりに減、宮崎に次ぐ2位の生産量は11年連続…翌日のメディア各社の報道を見ると、焼酎の需給状況はかつての「焼酎ブーム」の頃をピークに、慢性的に芳しくないイメージを抱く◆各種数字を分析すれば、楽観視できない状況であり、何らかの打開策が必要であることは毎年の会見で会長や専務理事が話している。奄美の世界自然遺産登録、国体の開催、本格焼酎がユネスコの世界無形文化遺産に認定されたこと…ここ数年でも何らかの「追い風」が期待されそうな出来事はあったが、所詮追い風は「他人任せ」であり、何らかの「きっかけ」にはなっても、恒常的な安定から成長につなげるのは業界の自主努力である。今回の米価高騰やサツマイモ基腐病のように「逆風」にさらされることもあるから要注意だ◆今回の会見では炭酸割の普及による売り上げの回復や、これまで未開拓の課題だった若い世代や女性に好まれるフルーティーな香りの焼酎の開発が進んでいること、中国をはじめとする人口増が進む成長著しいアジア市場の開拓など、明るい話題もあった◆「これからの新しい時代を生き残っていくためにも、新商品を開発し、成長著しいアジア市場にも切り込んでいきたい」と濵田雄一郎会長は言う。焼酎業界全体の奮起に期待したい。
