PICKUP 陸上 奄美記事 スポーツ

25年度鹿児島県高校総体陸上第2日

史上初、明桜館が男子四継制す!
楠田(鹿女子)が大会新

 2005年度鹿児島県高校総体陸上第2日は5月21日、鹿児島市の白波スタジアムであった。

 混戦となった男子四百リレーは明桜館=写真上=が41秒33で初優勝を勝ち取った。女子四百障害では楠田ゆうな(鹿児島女)=写真下=が59秒70の大会新記録を樹立した。百は男子・安田夢雄生(明桜館)、女子・中山綾音(鹿児島女)、いずれも2年生が制した。

 第2日は21日、同会場である。各種目6位(※女子三段跳、男子八種は4位)までが南九州大会(6月12―15日・熊本)に出場する。

※成績の詳細は下記リンクより

https://gold.jaic.org/jaic/member/kagosima/2025/result/kosotai/kyougi.html

まれにみる混戦、初の栄冠勝ち取る・明桜館

男子四百リレー ①明桜館(小竹、坂元、髙戸、安田)41秒33 ②鹿児島中央41秒58 ③鹿児島南41秒74 ④松陽41秒86 ⑤甲南42秒15 ⑥吹上42秒24

 明桜館が78回を数える歴史の中で初めて四継の頂点に立った。「明桜館が四継で優勝する。僕が入部した時は想像もつかなかった。素晴らしい後輩たちに感謝です」と二走を走った唯一の3年生・坂元瑛斗は感慨深げに語った。

 成長著しい鹿児島中央、近年県内では圧倒的な強さを誇る鹿児島南、名門・松陽…どのチームにも優勝の可能性があり、男子四継決勝は「史上まれに見るハイレベルなレースが期待できます!」と場内アナウンスが紹介していた。

 「安田にバトンがちゃんと渡りさえすれば…」というのが一走・小竹、二走・坂元、三走・髙戸、前を走る3人の共通の想いだった。例え、アンカーまでにトップに立てなくても、今季急成長中で百の頂点に輝いた安田が最後に何とかしてくれる。

 小竹佑太は初日の四百決勝で足がつってしまい「チームに迷惑をかけた」後悔があった。一走はフライングでもすれば一発でアウトになる。重責を感じ、思うような走りはできなかったがちゃんとバトンがつなげて「最低限の仕事はできた」。坂元、髙戸には昨年の新人戦、予選で転倒し、最下位になってしまった苦い思い出がある。「僕は本番になると緊張するタイプなんです」と本音を明かした髙戸蓮だが、バトンを安田に確実につなぐという仕事はやり遂げた。バトンをもらうとき内側のレーンにした鹿中央、大外の松陽が先にいた感覚はあった安田だが、百を制した圧巻の走りで抜き去った。

 史上初の快挙という喜びはあったが、「悔しさの方が大きいです」と安田夢雄生。自分たちの実力なら40秒台、あわよくば40秒80の大会記録を塗り替える力はあると思っていた。記録が出なかった悔しさは南九州にぶつけ、「鹿児島に明桜館あり」と名乗りを挙げる予定だ。

雨の中の記録に自信・楠田

女子四百障害 ①楠田ゆうな(鹿児島女)59秒70=大会新

 先日の県記録会で59秒31の県高校記録を出した楠田。自身の記録更新こそ果たせなかったが、59秒70と1分を切る走りで、11年ぶりに大会新記録を塗り替えた。この日は終日、雨模様で「決して良いとはいえないコンディションの中で、この記録を出せたのが良かった」と振り返った。

 百障害では2年前の鹿児島国体で3位入賞した実力者。四百は今季から「体力づくりのつもりで」取り組んだ種目である。スプリントも強いが四百も苦手意識はなく、マイルリレーで二走を走れる力もある。元々持っているハードリングの技術に体力もつけば四百障害にも強いのは必然といえるだろう。

 予選は雨が降りしきる中「失敗したレース」だったが、大会記録に近い1分01秒95で走れたことが自信になった。決勝では6台目までハードル間17歩で攻め、7台目からは18歩、直線に出てからは19歩と切り替える。逆足の踏切を苦にしないところも四百障害で生きる技術だ。今季の全国ランキングでも上位の記録を持つ。「本職」は百十障害という気持ちはあるが「まだスプリントは仕上がっていないので、今季は四百障害で上位を狙っていきたい」という。

「自分」に負けない!・山田

男子やり投 ①山田一颯(鹿児島南)54m00

 初めて県総体を制した山田。「あす以降の円盤投やハンマー投につなげられたのは良かった」と鹿児島南のチームメートのために優勝できたことは喜んだが、「狙った記録には届かなかった。『自分』に負けてしまった」と悔しがった。

 本来なら62m07のベスト記録を持つ前回覇者の山城(加治木工)が「本命」だったが今季は故障のため記録を出せていない。4月の県記録会で初めて勝っていただけに、「優勝できるかもしれない」という欲が力みにつながった。目標は「リラックスして投げて60m台を出す」だったが、力んで50m台の記録しか残せなかった。4投目が50m47、5投目はこの日ベストの54m00。2位以下の選手が40m台で争う中、着実に優勝を手繰り寄せ「やってやったぞ!」と力強くガッツポーズしたが、納得のいく投げではなかった。

 60m台を目指すチャレンジは南九州に持ち越し。「今度は自分に負けない!」と言い聞かせていた。

男子四百障害 ①平松希叶(鹿児島)53秒10 ②橋元翔琉(鹿児島)53秒39

女子三段跳 ①木島礼香(甲南)11m52

女子千五百 ①ムトニ・マーガレット(神村学園)4分19秒66 ②瀬戸口凜(同)4分29秒43

女子百 ①中山綾音(鹿児島女)12秒54 ②吉屋優希乃(同)12秒63

男子百 ①安田夢雄生(明桜館)10秒61 ②山田蒼士(加治木)10秒78 ③王向文(鹿児島中央)10秒82

女子砲丸投 ①坂口はな(鹿児島南)13m08 ②早川美海(鹿児島商)10m93 ③伊地知ユニス(沖永良部)10m00

「スムーズな回転」で初の表彰台・伊地知(奄美新聞掲載)

 女子砲丸投の伊地知ユニス(沖永良部)は自己ベストの10mジャストを投げて3位。これまで県総体での6位以内入賞はあったが、3位以内の表彰台はなく「高校最後の大会で上がれてうれしかった」と充実の笑顔が弾けた。

 苦しい投てきだった。グライドから回転投法を取り入れ、記録向上を目指したが思い通りにいかなかった。「1投目で確実に決勝に残る記録を出し、徐々に上げていく」プランだったが、力み過ぎて記録は伸びず。3回目までのベスト記録は9m61で、決勝に残った8人中4番目。4投目も9m36で終わり「今年も表彰台は無理か?」と弱気になり「正直泣きそうだった」。5投目は記録や表彰台を気にせず、練習で取り組んでいる「スムーズな回転」を意識した。精神を落ち着かせ、気持ちを切り替えたことが功を奏し、大会では初めて10mの記録を出した。

 振り返ってみれば「南九州につながる投てきができた」と感じる。10mが出た5投目の試技の再現性を高め、より精度を高めていけば「記録はまだまだ伸びる」手応えがあった。目標のインターハイの出場権をとるためには10m以上を確実に出さなければならない。残り約2週間の短い期間だが「集中して練習できる時間もある。やってみせます!」と力強く誓っていた。

-PICKUP, 陸上, 奄美記事, スポーツ