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育児は「育自」―父ちゃんの子育て日記・第35回

「若君」と「お姫様」のご乱心

【2025年6月16日】若君、ご乱心!

 小学4年生の純大が少し、思春期へと入ったなと思う出来事があった。

 バレーボールの練習が終わって、帰宅し、お風呂に入るときのひと騒動。先に純大が入り、私も久々の当番で、一緒に汗をかいたので後から入った。小学2年生のこころが入ろうとすると、純大が「甘えるな! 一緒に入るな!」と風呂場の前に仁王立ちして通せんぼする。別にこころが甘えようとしている風にも見えなかったが、純大が頑なに拒否する。堂々巡りを繰り返すと時間を浪費してしまうので、「強権」を発動して、こころを中に入れた。「お兄ちゃん」の意見を尊重し、私はすぐ出て、1人で入らせたが、自分の意見が通らなかった純大がやけを起こしていた。

 姿が見えないので、どこに行ったかと思ったら、夕暮れのベランダに腰を下ろしてふさぎ込んでいる。冷静に考えれば随分と無茶苦茶なことを言っているわけだが、無下に叱る気になれなかった。40年近く前の自分にも、こんな頑ななところがあったと思い出した。自分が「正しい」と思っていることを妹がやっていない怒り、年下だからと許されることへの憤り、自分はちゃんとやっているのにかまってもらえないと感じている寂しさ…私も長男だったので心情は理解できた。とはいえ、それを認めたら今度はこころの方を責めなければいけない。この件に関してこころに非はないから余計に迷うところである。

 少し時間を置いたら、あっさり出てきて、しばらく部屋にいたが、食事時には出てきた。食事の準備を手伝ったり、自分が食べたいはずのピザを妹に取り分けてあげたり、本心を隠して、かいがいしく妹に尽くしている姿を私にアピールしているのが伝わってきた。この辺はさすがだと思った。昔の私は「軌道修正」がすぐにできず、長時間不機嫌を隠さなかった。純大も今年で10歳。思い通りにいかないことへの憤りやストレスを感じつつ、それを乗り越えないといけないという気持ちを本能では理解している。ただただかわいかった幼児から、かっこいい少年へと、今まさに脱皮しようとしているのを感じた。

【2025年6月23日】お姫様、ご乱心

 純大が突然、切れたように、何かがトリガーとなってかんしゃくを起こし、感情を爆発させることが、子供にはある。先日の純大の出来事はまさしく「若君のご乱心」と呼べる出来事だったが、「ご乱心」はむしろ、妹・こころの方の頻度が多い。

 やはりバレーボールの練習後の出来事だった。蒸し暑さの中での練習でお腹もすいたことだろうと、何か「ご褒美」を買ってやろうと帰りにタイヨーに寄った。純大はお惣菜コーナーで鮭と牛カルビのおにぎりを買っていた。こころもエビマヨのおにぎりを選んでいたが「2階で何か買いたい」と言う。2階の100円ショップでかわいらしいシールを所望していたが、なかなか決まらない。いい加減こっちもお腹がすいてきたので「早くせんか!」とせかす。無事購入して一安心と帰宅したが、こころがなぜか不機嫌な顔をして車から降りようとしない。

 「こっちゃんもおにぎり2つが良かったぁ~」

 さすがに堪忍袋の緒が切れそうになった。ひとまずは家に入って、シャワーを浴び、食事の用意をしないといけないところだが、ずっとグズグズ泣きながら着替えもせず、あろうことか買ってきたシールを取り出して手遊びをしている。こうなると手が付けられない。まさしく「お姫様」ご乱心である。

 「しょうがないなぁ、僕のを一つあげるよ」

 途方に暮れていた中で純大が最高の「助け船」を出してくれた。私としてはわがままを言ったこころが2つおにぎりを食べて、純大が1つで我慢する理不尽を許すわけにはいかないと思ったが、せっかくの純大の好意を無にするわけにはいかない。「お兄ちゃん、すごいね! ちゃんとお礼を言いなさい!」とこころにきつく言うと、自分が良くないことをしているのが本能で分かっているのだろう。更に輪をかけて大泣きしていた。ようやくシャワーを浴びて、「ご乱心」も収まり、遅めの夕食が始まった。

 「おにぎり、2つに分けて!」

 こころが自分のエビマヨのおにぎりを2つに切って欲しいという。なんでまたそんな面倒なことをするのかと思ったが、「お姫様」のご要望通りに包丁で切り分けてやると、片方を純大に渡していた。

 おもわず涙が出そうになった。二人とも間違いなく成長している。昔話の「三方一両損」の現代版といったところか。

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