
「死球」「盗塁」「併殺」…野球で当たり前に使われる用語について、見直す必要があるのではないかと、宮城県高野連が提言した。この秋にも検討委員会を立ち上げるという。「殺す」「刺す」「盗む」…物騒な表現が定着している野球界の現状は確かにある◆そもそもなぜ野球用語は物騒なのか? さかのぼると「ベースボール」を「野球」と訳した中馬庚や、「打者」「四球」などの野球用語を生み出した正岡子規の頃から端を発し、明治から昭和にかけての富国強兵、軍国主義の時代に関連するとされる。野球が大衆の娯楽として定着する昭和初期ごろから、「刺殺」「捕殺」「併殺」などの言葉が、直感的で分かりやすい漢字表現として、新聞などで定着したという◆野球の試合=戦争のイメージと結びつくものは多い。4つのベースを表す「塁」は「城」「砦」であり、選手が控える「ダッグアウト」は「塹壕」を意味する。野球の得点は、アウトにならず、4つの塁を踏んで初めて成立する。他の球技にない得点方法は「生還」と表現する◆確かに字面は物騒だが、筆者自身長年野球表現を仕事にしてきて、代りにどんな言葉を当てはめればいいか、悩むところである。「1アウト一二塁」は「一死」とした方が字数も少なくてすむ。単なる「言葉狩り」で終わってしまわないかという懸念もある。今まで考えたこともなかった悩み。これもボールの縫い目が人間の煩悩の数と同じ108つあることのなせる業だろうか。